2025.11.22
地元石川県と繋がり続けるには
今回は靴のことではなく、地元石川県についてのシンポジウムに訪れたことについて書き留めておきたい。よければ最後までお読みください。
能登半島地震、奥能登豪雨復興記念シンポジウム
ノトノコエ
今伝えたい能登の声
を取材を終えて
会期 2025.11.22土曜日
場所 丸ビルホール&ホワイエ
東京都千代田区丸の内2-4-1 丸ビル7階
13時半開演16時終了
主催 石川県
2025年11月22日土曜日、「能登半島地震、奥能登豪雨復興記念シンポジウム ノトノコエ 〜今伝えたい能登の声〜」が、東京・丸の内の丸ビル7階「丸ビルホール&ホワイエ」で開かれた。
会場には、被災地・能登のいまを知り、これからの復興のかたちを考えたい人々が集まり、13時30分の開演から16時まで、行政・若者・有識者それぞれの立場から「能登の声」が語られた。
⚫︎冒頭 基調報告「復興の現在地」
冒頭に登壇したのは、主催者である石川県を代表して石川県知事・馳浩氏。
知事はまず、公費解体が全体の95%まで進んだことや、来年3月までに解体した廃棄物処理を完了させる見通しなど、復興の「現在地」を具体的な数字で示したうえで、単なる原状回復ではなく「創造的復興」を目指す方針として、瀬戸内国際芸術祭のような芸術祭を能登で開催したいという構想を語った。
⚫︎被災を経験した高校生のスピーチ
続いて行われたのは、能登で暮らす高校生男女によるスピーチだ。
中でも、震災当時は中学3年生、現在は高校2年生となった女子生徒の言葉は、会場の空気を大きく揺さぶった。進学にあたり「地元に残るか、金沢の高校に進むか」で悩み抜いた末、「愛するふるさとのために自分に何ができるか」を考え、地元に残る道を選んだと語る姿に、聞き手の目頭が熱くなる場面も多かった。
⚫︎トークイベント 「儲かる復興」の視点
トークイベントには、実業家のひろゆき(西村博之)氏と馳知事が登壇した。
ひろゆき氏は、地震の1年前から奥能登で地元パートナーと共にアパレル工場を運営し、軍服用の生地を用いた約7万円のパーカーなど、高品質な商品を展開してきた経緯を紹介。能登には良い商品が数多くある一方で、「売り方が分からない」事業者が多い現状を指摘し、自身は1000個単位で先に商品を発注して売上を安定させ、それをサブスク形式で全国に届ける取り組みを2025年7月から始めていると説明した。
さらに、約1兆円規模の復興予算がある今こそ、「悲しみベースの支援」ではなく、儲かる仕組みづくりによって全国から人が石川に来たくなる状況を整えるべきだと主張し、そのための仕組みを国と共に構築していく必要性を訴えた。
⚫︎パネルディスカッション 「稼ぎ続ける能登へ」
後半のパネルディスカッションには、輪島市長・坂口茂氏、宮下杏里氏、森山奈美氏、高橋博之氏、石山アンジュ氏、ひろゆき氏の6名が登壇し、能登の「稼ぐ力」と意識の転換がテーマとなった。
ひろゆき氏は、能登の中でお金が循環する仕組みづくりが不可欠だと指摘し、高橋博之氏は東北の復興で「終わった後の寂しさ」、すなわち人が訪れる理由が失われ、お金とともに縁も途切れていく現実を語った。
森山奈美氏は、能登には独特の「閉鎖性」があるとし、宮下杏里氏も「稼ぐことは悪いこと」「自分だけが儲けてはいけない」という空気が根強いことを問題提起した。
一方で森山氏は、稼いだお金を祭りの山車・能登キリコへ寄付し、地域に還元する文化があることにも触れ、こうした価値観をどうアップデートしていくかが鍵だと示した。登壇者たちは、支援する側・される側という関係から「一緒に頑張る」関係へと意識を変えなければ、いずれ支援の縁が切れてしまうと、口々に「意識改革」の重要性を語った。
また、ひろゆき氏は「都心部以外に人が住み続けること」が、結果として日本の安全保障にもつながる視点を提示。輪島市の坂口市長は、建設業の復興を加速させるためにも、安心して泊まれる宿泊施設を整備する必要があり、その準備を進めていると現在の取り組みを報告した。
⚫︎「ノトノコエ」が問いかけたもの
3時間にわたるシンポジウムを通じて、会場に響いたのは「支援される能登」から「共に稼ぎ、共に生きる能登」への転換をどう実現するか、という問いだった。
被災の痛みと向き合いながらも、地元に残る決断をした高校生、先行投資と仕組みづくりで「儲かる復興」を描く実業家、閉鎖性と還元文化の両面を抱えた地域の素顔——それぞれの「ノトノコエ」が交差し、復興を「続いていく日常」として捉え直すきっかけとなる一日となった。